幻覚の狼煙〜リンデン城塞と魔獣運搬船〜

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幻覚の狼煙〜リンデン城塞と魔獣運搬船〜

 カイン皇帝とナリッサが乗る中部騎士団船は、魔術師が水流と風を操って驚くほどの速度でアルヘンソ領へ向かっていた。  バンラードの魔術師の話では、バルヒェット港からリンデン港までは魔法を使って半日。それは黒龍用の魔獣運搬船に限った話だったのかもしれない。何にせよ、中部騎士団船はリンデン港まであと少しというところまで来ていた。  ノードは騎士団船に付与していた魔術を感知し、その上空にゲートを開いた。風翼でホバリングしながら下流方向に目を凝らしている魔塔主を、船上の魔術師と騎士が「鳥だ! 飛行機だ! 魔塔主様だ〜!」みたいな感じで指差している。 「魔塔主、この先に魔術師の気配があるぞ」  ジゼルは疲れたのかラブルーン制服バージョンを要求してパーカーに潜り込んでいたけど、魔力に誘われるように顔を出した。 「多くは帝国軍に同行している魔塔の魔術師、それ以外はまだ撤退していない魔術師団でしょうね。第一魔術師団と第二魔術師団が領境に送られていたようですし、なかなかの精鋭揃いのようです」  ノードは亜空間から地図を出し、景色と照らし合わせて位置を確認する。 「ちょうどニラライ河が右に蛇行していますから、今わたしたちがいるのはここら辺でしょう。あそこで河は緩やかに左に曲がり、その先にリンデン港があるはずです」  地図には錨のマークが描かれ、そのすぐそばから陸地に向かって二重線が引かれている。 「ノード、この線はあそこに見える茶色い壁?」  街並みの向こうに川縁から続く巨大な塀があった。それは鬱蒼とした森に隠れるまで続いている。 「あの城壁はエリスティカの密林まで続いています。総距離は約三十キロに及び、広義にはそのすべてをひっくるめてリンデン城塞と言うこともありますが、一般的にリンデン城塞と呼ばれているのは地図に斜線が引かれている河岸からリンデン城までのこの区間。領境防衛のための兵団施設や港湾施設があります」 「リンデン城から港まではあまり離れてないんですね」 「三、四キロ程度です。リンデン城よりも重要なのはあそこに見えている商用門」  ノードが巨大な壁の巨大な扉を指さした。まるで巨人の出入り口みたいだ。 「商用門はリンデン城と港の真ん中あたりに位置しているのですが、バルヒェットとの戦闘で一度破壊されて城塞内に攻め込まれました」 「直したんですか? あんなに大きな扉」 「商用門には東門扉と西門扉のふたつがあり、その間に検問所があります。城塞を奪還したあとで無事だった西門扉をこっち側に移動したそうです。西門側には応急処置として鉄格子などを設置し魔術付与してあるのですが、あくまで応急処置。東門扉を破られると一気に城塞を抜けてアルヘンソ領内に攻め込まれる危険があります。リンデン城塞でもっとも脆弱なのが商用門なのです」  商用門の上には魔術師の気配があり、常にバルヒェット側を警戒しているようだった。城壁の上では馬に乗った兵士が忙しなく行き来している。 「少し上昇しましょう。港が見えるはずです」  ノードに手を引かれて空へと飛んでいくと、警備兵が忙しなくしている理由がわかった。 「あれは……」  ノードはリンデン港手前あたりの沖あいに目をやっている。ニラライ河には十数隻の船影が見え、その中にひとつだけ飛び抜けて大きな船があった。ニラライ河が左にカーブしたあたり、宵待月のような楕円に近い形で、船というより人工の浮島みたいだ。西部騎士団船が警戒しているようだけど、陸地から巨大船までかなり離れている上、まだバルヒェット領側の沖にいるから目立った動きはない。 「黒龍が乗っているのはアレのようだな。早ければ朝リンデンに着くと言っていたから少々遅れたくらいか」  船に興味が湧いたのか、ジゼルはパーカーから出て羽を広げた。 「ゆっくりですが下流方向に動いているようですね。帝国領航行許可が下りていないので低速で様子見をしているのかもしれません。陛下に報告した後であの船に向かいましょう」 「黒龍は後回しでいいのか? シドがすでに乗り込んでるかもしれんぞ」 「だとしたらなおのこと、陛下のいる騎士団船を止めて距離をとるべきです。行きますよ」  ノードはあたしに背に腕を回し、中部騎士団船に向かって下降した。ジゼルは周囲の景色を見ながらマイペースについて来る。  騎士団船はさっきより少し進んだ場所で停泊し、甲板上では騎士数名とともに白い髭をなびかせてウィローが待っていた。あたしとノードが着地すると「ご無事で何よりです」と頭を下げる。 「ウィロー、昨夜こちらの船にカラス獣人が来ましたか?」 「はい。辺境伯の死亡とバンラードの撤退の件でしたらその方から聞きました。東部騎士団は上陸できたのでしょうか?」 「ええ。トッツィ男爵に引き継ぎ、イヌエンジュとエリ殿を残してきました。続きは陛下のところに行って話しましょう。案内をお願いします」  船内へと向かおうと歩き出すノードを、ウィローが躊躇いがちに「魔塔主様」と呼び止めた。 「ウィロー、何か問題が?」 「進行方向のニラライ河上に巨大な結界があるようですが、帝国のものではないようです」 「把握しています。ここで停船したのは良い判断でした。それも説明しますので下に行きましょう」  ノードの言葉通り、向かったのは下だった。  グブリア皇帝は船底に近い中央部あたり、窓のない船室のソファに座って待っていた。皇族が乗船することを見越して用意されていた部屋なのか、コンパクトな造りのわりに置かれている家具には高級感がある。揺れはまったく感じられず、テーブルに置かれた球体のマナ石には川面と陸地が映っていた。蠢桜にあったのと同じ投影魔法具だ。  ジゼルはヒョイとテーブルに飛び乗ると、皇帝にお尻を向けて魔法具に顔を近づける。カインはゆらゆら揺れる三本の尻尾をながめてフッと笑みを漏らした。 「皇帝陛下、遣いの者から話は聞かれたと思います」  ノードはカインの正面にあるソファの脇に立ち、胸に手を当ててお辞儀した。 「魔塔主。バンラードが撤退すると聞いたが、いったいどんな魔法を使ったのだ?」 「魔法など使っておりません。現在バンラード王国内はアルヘンソやバルヒェット以上に魔獣の対応に追われており、この機に大公を陥れようとする者も王国内部にいるようです。わたしは大公が冷静な判断を下せるよう今起きているマナの異常についてお教えしただけ」 「なるほど、内紛の種があったか。何はともあれ、バンラード魔術師団との衝突が回避できたのは良かった。あとは魔獣を密林に戻せば――」  ノードの沈鬱な表情にカインが目を留め、「違うのか?」と眉間にシワを寄せた。「実は」とノードが話しかけたとき、コンコンと船室のドアがノックされる。 「陛下、皇女殿下がお越しです」 「通せ」  扉が開けられ姿を見せたナリッサは、深緑色の動きやすそうなドレスを身に纏っていた。胸元にはユーリックが贈ったガーネットのネックレス。彼女の後ろには紫蘭騎士団の制服を着たマリアンナの姿がある。 「陛下、わたしとトッツィ卿も同席させていただいて構いませんか?」 「ああ、そこにかけなさい。魔塔主も疲れているだろうし座るといい」 「いえ、わたしは」  断ろうとするノードの腕をつかみ、ナリッサは強引に隣に座らせた。 「ノード、手を出して。わたし、船に乗ってるあいだもちゃんと勉強してたんだから」  ノードの両手を握り、ナリッサは歌うように詠唱を始める。金色のオーラがナリッサからノードへと流れ込み、(その様子にちょっと嫉妬したりもしたけど)明らかにさっきまでよりノードの顔色が良くなった。目元のクマも消えて髪もツヤツヤになった気がする。 「これは、懐かしい感覚ですね」 「やってもらったことがあるの?」 「ええ、わたしがお仕えしていたイブナリア王に。こんなに愛らしい手ではなく、大きく硬い手のひらでした」  ナリッサはフフッと笑みを漏らす。 「イブナリアがどんな国だったか聞きたいけど、雑談をしている時間はないのよね?」 「はい、残念ながら」  ノードは真面目な顔でうなずき、姿勢を正して皇帝に向き直った。 「バルヒェット事変以降、シドはバンラード大公の前から行方をくらましていたそうです。つまり、世界樹跡地と魔塔火災の件にバンラード王国は関与していませんでした。魔塔襲撃時にシドはモリーヌ皇妃の返還とバルヒェット独立の話を持ち出しましたが、あれはハッタリだったのでしょう。一連の事件はシドが個人的に起こしたものです」 「それなら、バンラードが撤退してもシドが退くとは限らないわけか」  はい、とうなずき、ノードは亜空間から先ほどの地図を取り出してテーブルに広げる。 「ウィローが魔力の気配を感知して停船したようですが、このあたりにバンラードの魔獣運搬船がいます。停泊しているわけではなく、ゆっくりと下流方向へ航行しているようです。もともとアルヘンソ侵攻のためにリンデン港に向かっていたようですが」  地図を囲んでノードがざっくりと説明したのは次のことだ。  ①昨日の時点ではバンラードはアルヘンソ侵攻を諦めて魔獣運搬船をバルヒェット港に戻すつもりだった。  ②話し合い(?)により併合宣言中止と即時撤退を大公が了承。それに伴い、魔獣をバルヒェット経由でバンラード王国に運搬するのは不適切と判断。  ③魔獣運搬船はニラライ河を下ってトウェス海沿いのバンラード王国ランカス港に向かうよう大公が指示。ノードは魔獣運搬船の帝国領航行許可を求められた。 「では、リンデン港付近にその船がいるのは帝国からの航行許可を待っているのか?」  ノードの説明をひと通り聞いたあとカインが問いかけた。が、ノードは首を振る。 「大公には許可を待たずトゥエス海へ抜けるよう伝えました。シドが乗船する隙を与えるだけですから」 「ではなぜアルヘンソ領境の手前に留まっているのだ?」 「運搬船に大公の指示が届いていないのかもしれません。最善策はわたしが今からあの船に行って航行許可を出し、トゥエス海まで同行することです。あの船には聖女が未来視で見た災厄の黒龍が乗っているようですから。そして、その黒龍にはシドの使役魔術を優先するように魔術がかけられていると」 「黒龍か……」  カインは「なるほど」と深く長いため息を吐いた。 「そう言えば、シドに関することは魔術師団に伝わってないんだよね」  あたしが口にすると、ノードが「ええ」とうなずく。 「第一魔術師団の師団長と副師団長はシドを警戒していたようです。魔獣運搬船に同乗しているのが第何魔術師団かは聞いていませんが、同じようにシドを警戒していると良いのですが」  不意に全員が示し合わせたように天井を見上げた。あたしが「何?」と聞くと「揺れが」とノードが言う。 「わずかですが船が揺れました。サラさんは浮いているから気づかなかったのでしょうが、この部屋で揺れがわかるくらいなら上はもっと揺れているはずです」  ソファから腰を浮かせるノードに、ずっと球体のマナ石を眺めていたジゼルが顔をあげて「魔獣のようだ」と言う。全員が一斉にマナ石をのぞきこんだけど、その姿は映っていない。 「どんな魔獣です?」 「これには映っていないが相当な魔力だろう。甲板の魔術師が警戒しているようだ」  ノードの隣から投影魔法具をのぞき込むと、尻もちをついてどこかを指差す兵士と手すりに捕まる魔術師が映っていた。背景が傾いているのは船体が傾いているからだ。 「魔塔主様、上からの通信を繋げます」  ウィローが手の中で魔法具を操作した。途端、ゴーッという激しい風音と『ウィロー様!』と叫ぶような声が耳に飛び込んでくる。 「魔獣か?」とウィローはハッキリと大きな声で問いかけた。 『魔獣の姿は確認できませんが、魔力風の気配は魔獣のものに間違いありません。突風のあと空を覆うほどの炎が……投影具はそこにありますか?』  ウィローはテーブルに目をやり「ある」とひと言返す。 『魔獣がいると思われる方角を映します。陸地の上に炎と……うわっ、また風が』  魔術師が転んだらしく甲板の木目がアップになったあと、『すいません』と聞こえ河と陸地が映し出された。陸には町並みの奥に城壁が見える。 『炎はリンデン城塞より手前のようですが――』 「陸地が燃えているのですか?」  ノードがウィローの通信具を奪って話しかけると、魔術師は『えっ』と困惑した声を漏らす。 「魔塔主です。街が燃えているのですね?」 『あっ、はい。見ての通りです』  見ての通り――という言葉にナリッサとマリアンナが首をかしげた。川縁に炎が見えているけど焚き火のような小さなもので、魔術師なら簡単に消してしまえそうだ。 「魔獣運搬船にキツネ魔獣が乗っていると言っていた。おそらくそいつの仕業だろう」とジゼル。ノードもうなずいている。 「どういうことだ」  カインが魔塔主に聞いた。 「先ほどの船体の揺れはおそらく魔術師による風魔法です。魔獣の魔力波をここまで届かせるために風魔法を使ったのだと思います。キツネ魔獣の魔力波には幻覚作用があり、目に映るものが巨大化したり誇張されたりして見えるのです。船内にいて魔力波を浴びていないわたしたちには焚き火にしか見えないこの炎が、甲板の上にいる者には街を焼き尽くすほどの大火に映っている。魔獣の魔力が大きいほど幻覚作用が強く現れるので、ジゼル殿がさきほど言った通りバンラードが育てていた九本テールのキツネ魔獣に間違いないと思います」 「九本ですか」  ウィローが驚きで声を裏返らせた。 「九本とはいえキツネ魔獣の攻撃力は強くないので、種明かしされれば恐れる必要はありません。幻覚により自分自身や周りの動植物が巨大化したように見せて威嚇し、相手が怯んだ隙に逃げるのです。結界で魔力波を防御すれば魔術師が幻覚に惑わされることはありません」 「魔術師の幻覚魔術は補助薬を使わないとできないんだ。その補助薬の代わりにキツネ魔獣を使って自身の魔術を誇張して見せる魔術師がいると聞いたことがある」  さすがジゼル。悪魔の情報網ってやつだ。ウィローは髭をなで、「問題は魔術師ですね」と眉をひそめた。 「攻撃力のないキツネ魔獣とはいえ、九本テールを使役しているとなると上級魔術師。もしや――」  ノードが片手をあげてウィローの言葉を遮った。「聞こえていましたか?」と通信具越しに甲板の魔術師に話しかける。 『はい。魔力結界で対応します』 「そうしてください。キツネ魔獣を使役している魔術師は魔力抑制具を身に着けている可能性があります。上級魔術師と思われるので十分警戒してください」 『わかりました』  魔術師が拡声魔法で情報共有しているのが通信具越しに聞こえてきた。ノードはそれを確認したあと通信を切り、ウィローと顔を見合わせてうなずく。 「陛下、使役しているのはアルストロメリアの可能性があります」 「ぼくも同感だ」と、ジゼルがカインを見上げた。 「あの魔獣運搬船の中で大公が連れ帰れと言っていたのは黒龍と九尾くらいだから、他は大したことないだろう。シドが黒龍を狙っているなら、余った九尾のキツネをあの女に与えてもおかしくない。それに、シドがキツネの幻覚など好んで使うとも思えんからな」 「そんな攻撃力のない魔獣を、バンラードはどうするつもりだったのだ? ペットではなかろうに」  大きな九本テールのキツネに包まれたら心地良さそうだけど、もちろんモフモフ用ではない。カインの質問にはノードが答えた。 「キツネ魔獣は帝国騎士団との戦闘を想定して飼育されていたと思われます。奪った領土の被害が少なく済むよう幻覚で脅そうと考えたのでしょう。それにしても、これで魔獣運搬船にシドが乗り込んだのがほぼ確実になりましたね」 「航行許可がどうのと言っている状況ではなさそうだ」  カインはそう言うとソファから立ち上がり、「連れて行け」とおもむろにノードに命じた。 「連れて行けとは、いったいどこへ行かれるおつもりですか」 「リンデン城だ。あそこは我が軍が占拠しているのだから大丈夫だろう?」 「安全とは言い切れません。帝国軍の拠点だからこそ黒龍の標的になる可能性があります。それに、リンデン城塞付近にはまだ魔術師団の気配があるのです。撤退命令が出ているのに留まっているのはおかしい」 「シドが騙したんだろう」とジゼル。 「大公が中途半端に帰るからこんなことになるんだ。魔術師団にシドが反逆者だと公言すれば面倒なことはなかっただろうに」  プンスカ怒る白猫をなだめるようにその頭をカインがなでた。 「その役目をわしがしよう。魔術師がシドに加担しないように注意喚起し、バンラードの撤退を周知させる。拡声魔法具を使えば、帝国軍だけでなく魔術師団とバルヒェット兵にもわしの声を届けられるだろう?」  カインはすでに心を決めたようだけどノードは渋っていた。 「ねえ、ノード。心配ならあたしがパパッと行ってリンデン城の様子を見てこようか?」 「サラさんを一人で行かせる方が心配です。行ったら戻ってこないので」 「間違いない」  ウケケッとジゼルが笑う。カインはジゼルの軽口に微笑を浮かべたあと、「魔塔主」と真摯な顔つきで語りかける。 「わしがグブリア皇帝の名でシドへの警戒を呼びかけることはそなたの目的と相反するものではないはずだ。与えられた力には使命が宿るのだろう? 今わしに与えられているのはささやかなオーラと皇帝の地位。わしのオーラで黒龍をやっつけることはできぬが、この地位にはそれなりの力がある」 「ウケケッ、言うことが凡人じみて好感が持てるぞ。おい、魔塔主。アルストロメリアはゲートの気配を感知してこの船をターゲットにしたはずだ。スクロールで城に行って裏をかけばよいのではないか?」  ジゼルの提案にノードは悩ましげにこめかみを押さえ、チラとナリッサに目をやった。皇女をどうすべきか考えているようだ。 「ノード、あたしも陛下と一緒に行くわよ。さっさと移動しましょう。こうしてる間にもシドが何をするかわからないじゃない」 『魔塔主様、キツネ魔獣が現れました! 大きいです! 背中に乗っている魔術師は、……支部長、あっ、元支部長ではないかと……』  一方的に繋がれた魔術師からの通信、最後あたりは小声になっていた。投影魔法具で甲板の様子を確認すると、魔術師は撮影用魔法具を手に走っているらしく映像がブレている。数秒後ようやく映し出された映像に全員が釘付けになった。  撮影魔法具は服に隠しているのか、両端には布が映り込んでいる。その布と布の間には兵士数人とキツネ魔獣の姿があった。船内にいるあたしたちには幻覚作用がないはずなのに、幻覚ではないかと思うくらいの巨大なキツネ。尻尾一本で成人男性くらいありそうだ。
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