Season when snow melts

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「澄ちゃん、口開けて」 ふと腕の拘束が緩んだかと思えばすぐに顎を掬われ、有無を言わさずキスをされた。樋浦の指示通りに従順に開けた唇の隙間から、生々しく濡れた舌が潜り込んでくる。 歯列をなぞり、舌先を吸われた。 その度に身体の奥の奥が、じんじんと疼くから。 「逆上せる前にベッド行こうか」 とろんと脳が蕩けたみたいに頭が動かない私に対して、樋浦はまだまだ余裕を残した顔で、甘美な誘惑を口にする。最初からその誘いに乗ることが決まっていたみたいに、こくんと頷く私を樋浦が抱き上げた。 大きなバスタオルに丸ごと包まれた私の髪を拭きながら、樋浦がまたキスをする。触れ続ける唇が爛れてしまいそうなのに離れがたくて、少しだけ湿った樋浦の肌から伝染する温度が愛おしくて。 私の体を粗方拭き終えた樋浦にまた抱き上げられて、寝室まで運ばれた。ふわふわとした冬用のブランケットの上に降ろされると、「湯冷めして風邪引いたら元も子もねえからな」と今度はそれで体を包まれる。 「体、キツかったら途中でやめるから」 「、…は、はい」 震える私の額にキスが落ちてくる。 それだけで、もうなにもかも大丈夫な気がした。 男の人からこんな風に触れられることが初めてな私でもわかるくらい丁寧に、樋浦の指先や舌が体中を愛撫する。耳元に触れた唇がちゅっと微かな音を立て、それが直接鼓膜を震わせるから、妙な痺れが湧いてくる。
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