Season when snow melts

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「─ひ、ぅ、……ぁ」 「声、別に我慢しなくていいよ」 「あ、ち、が…、─なんか、へんな、感じが」 するりと脇から胸の淵をなぞられるだけで背筋が粟立つ。鎖骨のあたりに口付けていた樋浦の唇が下降して、胸の尖りを口に含む。それを舌の上で転がされると、ドロドロとした粘度の高い陶酔が訪れて。 「ん─、…あ、ぁ」 「ちゃんと感じられそう?」 「わ、かんな、…ッ、でも、んんっ」 「技術面は頑張るから、澄ちゃんはなんも難しいこと考えなくていいよ」 ただ俺のことだけ感じてて、とニヒルに笑う。 その顔だけを永遠に見ていたくて。 お風呂上がりなおかげでお互い既になにも身に付けていない私たちの肌と肌が触れ合って、もうなにも考えられないくらい溶け合って、艶美な熱を交換する。 「触られて嫌なとこないっすか、お嬢さん」 「ん、た、ぶん、ないです」 「ウブでいいねえ、なんか純粋無垢な若い子のこと穢しちゃったみたいな背徳感あるわ。まあでも本当に若いか」 背徳感?とふやけた頭にハテナを浮かべた。 だけど私は残念ながらもうアラサーに差し掛かりはじめた年頃なので、純粋無垢な若い子だなんて言ってもらうには忍びない。 「25とかだろ?全然若ぇっての」 「それに、ひうらさん、年上が好みだって…」 「はは、覚えてなくていいこと覚えてんな?まあでもそれは若い頃の話じゃん、今はもう澄ちゃん一筋で頑張りますんで」 ちゃんと尽くさせて、なんて囁く。 樋浦尊という人の手練手管がもうおそろしい。
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