第一章

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第一章

1 翌日。 あの後日向誠は後にやって来た警察に自ら連れて行かれる事を望み、搬送されて行った。 それはその後に茜が撃たれるかもしれないと言う可能性も考慮した上でだろうし、自分なりに向き合おうとした故なのかもしれない。 「正直今でも俺は自分がした事もしようとしていた事も全部が間違っていたとは思えない。」 「あぁ。」 「でもあの時茜を守れなかったのは結局俺の罪だ。 茜が今を変えるために覚悟を決めなければならないように俺も一度自分と向き合ってみようと思う。」 去り際に日向誠はこう言った。 「今回の事で俺達の事を理解してくれるやつもいる事が分かった。 不本意ではあるが一応お前のおかげだ。」 「不本意は余計なんだよなぁ……。」 「俺は今でも誰も信じない。 こうして捕まるのもお前が働きかけてくれたからじゃない。 茜を守るため、俺自身が罪と向き合うためだ。」 「分かってるよ。」 俺と日向誠が出会ってからの期間はあまりにも短い。 実際、日向誠が抱えた傷もそんな簡単にどうこう出来る物でもないだろうし仕方ないのかもしれない。 「まぁ……でももしもっと違う形でお前と出会っていたなら、何か変わっていたのかもしれないな。 茜がそうだったように。」 でも俺がそうして積み重ねてきた茜との時間を日向誠は認めてくれているのだと分かった。 「おう、その時は親友になってたかもな。」 「まぁめんどうな知人くらいにはなってたかもな。」 oh......友達ですらないジャマイカ、、 そんなこんなで今に至る訳だが、木葉からは結局何も聞いてない。 ちなみに蟹井と俺は朝から担任にこっぴどく叱られたのだが、それはまた別の話である。 これはまぁ実際覚悟の上だし別の話にしといてくれ……。(切実) 「全員揃ってるかー? 今日はお前らに耳寄りな知らせがある。」 担任教師が教室に入って開口一番にそんな事を言ってくる。 「何々?」 「まさか抜き打ちテストとか言わないよな。」 「まぁそれもありかもだな。」 「すいませんでしたぁぁぁ!」 「まぁ冗談はさておき、今日は転校生を紹介するぞ!」 ん?転校生? 「ど、どうも……。」 「わーなんか凄いの!」 「……。」 あれー?なんだか妙に聞き覚えのある声とため息なんだけど……!? 「彼女達が今日から期間限定の体験入学生と言う形で仲間になる事になった。 皆、仲良くするように。 じゃあ三人とも自己紹介を。」 「あ、えと、はい。 川崎凪って言います。」 「雫なの!」 「茜……。」 やっぱりじゃないか……!? そこには年相応に学生服を身にまとった凪と、そして明らかに見た目年齢と制服があってない雫。 どうしてこうなったとでも言いたげにうんざりした表情の茜がいた。 なんだこれ悪夢か? 「え、この子高校生なの……?」 当たり前のように当たり前の質問されてら、、 「な、何を言ってるんだ。 ドコカラドウミテモコウコウセイジャマイカ。」 おい先生棒読みジャマイカww それに木葉がニヤリとあくどい笑みを浮かべる。 そもそもこんな時期に期間限定体験入学という形の特別待遇で入ってくるなんて普通じゃない。 コイツの仕業か! 俺が目を向けると、木葉はしれっとドヤ顔ダブルピースを決めてきた。 金持ちこっわ! 「三人は私の友達だから皆仲良くしてあげてね! もしいじめたりなんかしたら……どうなるか分かってるよね?」 金持ちこっわ!!(Part2) 「桐人君、茜さん達と同じ学校に通えるなんてびっくりだね。」 隣の千里は楽しそうだ。 「嫌な予感しかしねぇんだが……。」 これから始まる毎日に不安を覚えながら、俺は頭を抱えるのだった。
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