運命のひと

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  占い師が厳かに語り始めた。 「人は生まれ変わるときに男女交互に生まれてくるの。次に運命の人と会う時は男女が逆になる。わかる?でもね…ここのところこの星の人口も随分増えたじゃない?少しのズレは元々あったけどそれがどんどん激しくなって、いわば異常気象ならぬ異常運命ね。同じ時代に運命の二人が70歳差だったり、どちらも同じ性だったりということがよく起こるようになって、運命の人と出会っても結ばれるのは難しくなったの」 なるほど。なるほど? なるほどそういうことか。運命の人と結ばれなければいけないことはない、と。 だがこれはつまりリカはケンジの運命の人ではないということになる。 そしてリカの運命の人もケンジではないということだ。 「カノジョからだわ」 占い師が言って1秒後、ケンジの電話が鳴った。リカだ。 『ケンちゃんごめん今駅に着いた。あと3分ぐらいでお店に行くから』 「ごちそうになりました。すいません急ぐので」 ケンジはそそくさと立ち上がりドアを開けて最後に運命の人を振り返った。 彼は微笑んで手を振る。 また来世でね、と言うように。 店を出た瞬間、ケンジは向こうから走ってきたリカとぶつかりそうになった。 「ええ?こんなことってある?」ケンジの顔を見て、リカは嬉しそうに笑う。 俺が運命の相手じゃないと知ったらリカはどうするだろう?とケンジは不安にかられた。 「リカは…運命ってどう思う?」 「え?うーん。キッカケだよねーただの」 あっ、そうなんだ。もっと思い入れあるのかと思ってた。 リカがサバサバしててよかった。付き合ってから見つけた俺がリカを好きなところ。 バーではナツコと占い師がシンガポールスリングを飲んでいた。 「運命ってなんなのかしらねえ」 「ねえ」
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