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「ねえ!聞いてよ」 布団に入ると、3面鏡化粧台で恋愛小説を読んでいた妻、キミが、すぐさま本をかたすと、オレの隣の布団に入って来た。 オレは「ん?」とだけ反応。 寝室での妻の「ねえ」のアトに続く話し、それは大した事ない内容が多い。 テレビやネットで得た時事ネタ。 自分が長年、事務員として勤めている運輸会社の、同僚の悪口やボヤキ。 同じ団地内の住人の、ホントかどうか判らないウワサ話し。 オレには興味が沸かない内容ばかりだ。 しかし、その時の「ねえ」に続く言葉には、オレも耳を傾けずにはいられなかった。 妻は 「ねえ、聞いてよ!お母さん、結婚するんだって」 と言ったからだ。 「え!お義母さんが結婚?」 オレは上半身を少し浮かし、妻の方に体勢を向けた。 「マジで?」 「今日、夕方、電話があったのよ。そんなコトいままで何も言って無かったのに、イキナリよ」 妻は露骨に眉を寄せ、口を尖らせた。 彼女の母、岩川サツコさんは、オレらが住んでるトコと同じCB県CB市に、今、1人で暮らしている。 妻がオレと結婚するまで居た実家だ。 妻の父親は彼女が高校生の時に亡くなった。 それからはずっと、親1人子1人で暮らして来た。 現在、オレ家族は市の団地に、3人(妻、小4の1人息子)で住んでいるが、将来は、その妻の実家に入り、義母と一緒に暮らすか、それともマイホームを購入するかは検討中である。
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