虚しき道化師

3

帰宅し妻に
「オマエも話し、はずんでたじゃないか」

と言うと
「ううん。気を使って相手してただけ。なんか違うな。私とは合わない」

と首を振っていた。

妻45、彼女は38と、7歳差と言うのもあるだろう。

「でもサ、ゲンジさんとは、オマエの実家行って、会うことは度々あるだろうけど、ハツヒコさん夫婦とは、そう、用でもない限り会うことはないんじゃないか？」

そう言うと妻も
「そうあって欲しいわよね。気ィ使っちゃうし」

なんて迷惑そうな表情を浮かべていたが、それから２週間後。

「息子夫婦の家でバーベキューやるらしいんで、来て下さいよ」

とゲンジさんから連絡があった。

「あー、気が重いわ〜」

などと相変わらず消極的な妻に

「付き合い付き合い。それに向こうさんは持ち家って話しじゃん？ウチらもマイホーム考えてる訳だし、どんなんか拝見させてもらおうや。
それに家を建てる時の流れや注意点、アドバイス等、聞いてみるのもイイんじゃないか？」

と、オレは取り敢えず、前向き発言。

「行かないとは言ってないわよ。そうよねー。10年前に建てたって言ってたっけ。どんな家か見るのも悪くないわね。それに断ったら、よけいに気不味くなるわよね」

確かに、まだこの最初の段階で、拒否したら、これから気不味くなるパターンはありうるなとオレも思った。

という訳で、日曜日の昼前、ハツヒコさん家を訪れた。

5LDK。綺麗な家である。

築10年、木のにおいがなんともイイ。

家も大きいが、また、庭も広い。

ウチらが行くと、もうその広い庭で、ハツヒコさん夫婦と、先に来ていたゲンジさん、お義母さんらが、バーベキューの用意をしてくれていた。