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「えーっとね…名前は…谷津田ゲンジさんって言ったかな?やっぱり、10年前に奥さん亡くして、子供は男が1人。その息子さんは、何年か前に結婚して、今は、谷津田さんとその息子さん夫婦と、3人で暮らしているそうよ」 「息子夫婦に子供は居ないの?」 「うん、居ないらしいのよ」 「息子さんの年齢は?」 「そこまで聞いてないわ」 「で?その谷津田さんて人と結婚して、お義母さん、住まいはどうすんの?相手の家に行くの?」 「ううん。その人が家を出て、私の実家で、お母さんと2人で住むんだって」 「なるほど」 オレは頷いた。 しかしそうなると、今まで選択肢にあった「義母との同居」はもう消去される。 さすがに義母が再婚した相手とは、オレら3人一緒に暮らしにくい。 妻も当然それは頭にあるだろうと思っていると 「でね」 と妻は 「今週の日曜日、紹介するから、来いって言われたんで、実家行くから」 と言った。 「そうだな…義父になる人だし、早めに会っておかないとな。アト、その人の息子さん夫婦にもね。親族になる人達だからな」 オレは体勢を妻から天井に向けた。 「あ〜あ、なんか、気が重いわ〜」 と、妻は言うことだけ言うと 「そーゆーコトなんで、オヤスミ」 布団をかぶろうとしたが、オレは再度、妻の方を向き 「ねぇ、今日、しようか」 と誘った。 「あー、ダメダメ。仕事で疲れちゃって、もうそんな気分じゃナイ。アナタも明日も仕事でしょ。早く寝なきゃ。オヤスミ」 妻は向こう向きのまま、そうタンパクに答えた。 「ハイハイ、おやすみネ」 オレも逆に妻に背を向けた。
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