14人が本棚に入れています
本棚に追加
「えーっとね…名前は…谷津田ゲンジさんって言ったかな?やっぱり、10年前に奥さん亡くして、子供は男が1人。その息子さんは、何年か前に結婚して、今は、谷津田さんとその息子さん夫婦と、3人で暮らしているそうよ」
「息子夫婦に子供は居ないの?」
「うん、居ないらしいのよ」
「息子さんの年齢は?」
「そこまで聞いてないわ」
「で?その谷津田さんて人と結婚して、お義母さん、住まいはどうすんの?相手の家に行くの?」
「ううん。その人が家を出て、私の実家で、お母さんと2人で住むんだって」
「なるほど」
オレは頷いた。
しかしそうなると、今まで選択肢にあった「義母との同居」はもう消去される。
さすがに義母が再婚した相手とは、オレら3人一緒に暮らしにくい。
妻も当然それは頭にあるだろうと思っていると
「でね」
と妻は
「今週の日曜日、紹介するから、来いって言われたんで、実家行くから」
と言った。
「そうだな…義父になる人だし、早めに会っておかないとな。アト、その人の息子さん夫婦にもね。親族になる人達だからな」
オレは体勢を妻から天井に向けた。
「あ〜あ、なんか、気が重いわ〜」
と、妻は言うことだけ言うと
「そーゆーコトなんで、オヤスミ」
布団をかぶろうとしたが、オレは再度、妻の方を向き
「ねぇ、今日、しようか」
と誘った。
「あー、ダメダメ。仕事で疲れちゃって、もうそんな気分じゃナイ。アナタも明日も仕事でしょ。早く寝なきゃ。オヤスミ」
妻は向こう向きのまま、そうタンパクに答えた。
「ハイハイ、おやすみネ」
オレも逆に妻に背を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!