2

1/5
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ

2

その週の日曜日。 家族3人、義母宅を訪れた。 居間に入ると、座っていた1人の老人が立ち上がり、オレらに軽い会釈をした。 が、この人、結構長身で、ガタイもいい。 髪は七三ワケで、ハゲてもいない。 72歳と聞いたが、歳よりは若く見え、第一の印象は、なかなかダンディな人だと思った。 少し小麦色の肌も、その良い相乗効果を現していた。 「まーまー座って」 義母のサツコさんが促したので、ウチら3人、テーブルを挟んで向かい合って座った。 「こちらがお話したフィアンセの谷津田ゲンジさん」 義母がまずソッチを紹介した。 「このたび、サツコさんと御縁があって一緒になることになりました谷津田です。これからどーぞヨロシクお願いします」 ゲンジさんは白い歯を「ニッ」て見せた。 続けて義母は、オレら3人を紹介していった。 オレが 「初めまして、向田エイスケです」 と頭を下げると 「エイスケさんは、おいくつなんですか?」 ゲンジさんが最初の質問をしてきた。 「42です」 と答えると 「そーですか。私の息子、ハツヒコの2つ上ですね」 と言ったアト 「本当は、息子夫婦も一緒にと思っていたんですが、昨日今日と、ハツヒコは出張でしてね。とりあえず私だけでも早目にアナタ達に会って承諾を得たいということで、今日、こうして、お話しの場をもうけたんですよ」 と言ったゲンジさんの笑顔は、すがすがしかった。 その時義母が 「お茶、入れて来るわね」と席を立って台所に消えた。 ゲンジさんはさらに 「エイスケさんは、どーゆー関係のお仕事をなさってるんですか?」 第2の質問だ。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!