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「え?どうして?なぜ、カスコさんは夫のハツヒコさんを殺すの?」
訳が判らない。
「ハツヒコの保険金目当てだよ。金額は知らんが、けっこうな額の保険をかけていたみたいだからな」
それ聞いて私、驚いちゃった。
マジなのって。
「もしかして…おとーさんの遺産目当て殺人計画がダメになったもんだから、今度は、ハツヒコさんの保険金を狙ったっていうコト?」
「そうだろうな。まさかカスコがソッチ目当ての殺人を実行するとは思わなかった。
ハツヒコに悪いコトをした。
オレが家を出たばっかりに…」
おとーさんの目は今までに見たコトがないくらい沈んでいたし、悔やんでいたわ。
「おとーさんのせいじゃないわ。アノ人、おかしいわよ。お金の為に平気で家族、殺せるなんて」
今更ながら恐ろしい人だと思った。
カスコさんて人。
「これは殺人事件よ。このことほっといちゃダメだと思う。ケーサツ行ったほうがイイんじゃない?」
って言ったんだけど
「イヤ、ケーサツもバカじゃない。
犯人は早い段階でつきとめるだろう。
ほっとこう」
おとーさんの声は震えていて、涙目だった。
息子を殺されたのは自分のせいと、責任を感じて、悲しんでいるおとーさんを見るのは、私も、しのびなかった。
その後、犯人が逮捕された。
二丿方って言う男だったわよね。
それで私、カスコさんが犯人ではなく、単なる轢き逃げ事件かと思ったんだけど、おとーさんに言わせると
「イヤ、あれはカスコがその二丿方というヤツにヤラせたんだろうな。
金か色目を使って」
って、カスコさん犯人説を信じて疑わなかった。
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