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実家近くの日本料理店に入った。
県道沿いで、その前はチョクチョク通るが入ったことはない。
ウチら3人で入るには、ちょっと足踏みしてしまいそうな高そうなイメージがあった。
入って座敷に上がり、手渡されたメニューを見る。
その間、皆、無言で、そのメニューに集中していた。
当然料理の内容もファミレスとは違うが、全てが高価であった。(刺身、寿司、天ぷら、定食だけではなく、ピザや、パスタ、ラーメン、丼物もあったが、やはり高価だった)
妻もメニューを凝視していたが、多分
(こんな金額の食事するくらいなら、スーパーで、大分食材買えるわ)
とでも思っているのだろう。
息子も目を輝かせながら何にするか、メニューをパタパタ何度も繰り返し見ていた。
たのんだ物が運ばれてくると
「スゲー」
と息子が露骨に呟いたが、確かにスゲー。
1人者時代は、こーゆー店にもツレらと行くこともあったが、所帯を持ってからはホント、こんな食事は始めてである。
「さ、さ、遠慮なく。追加で何か頼んでもイイし」
ゲンジさんは手を広げ
「オイタロウ君も、食べたいのがあったら、気にせず言ってくれよ」
と、息子にも笑顔を近づけた。
「判りました。ありがとうございます」
オイタロウも、今まで見たことも無い笑顔でペコリと頭を下げた。
そして、そんなこと言われたもんだから、息子は、普段は何も食わせてないんじゃないかと思うくらい、料理を貪り食っていて、親として、ちょっと恥ずかしかった。
ゲンジさんはビールも注文し
「エイスケさんも大丈夫ですよね。呑んでも」
と、オレに聞いて来た。
「エエ、大丈夫です。帰りは妻が運転してくれるんで」
と、妻キミの方にチラリと目をやると、彼女も
「うん、私、運転するから呑んでもイイよ」
と言ってくれた。
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