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序文
私が展示会場で見つけた、海辺を撮った綺麗な風景写真には、不思議な光源がひとすじ写りこんでいた。
太陽や月とは違うその白いひかりは幻想的で、私は思わず息を呑み、作品の前に足を止めた。
「――――ずるだけど、この光をどうしても出したくて、キャンプ用のスポットライトを当てたんだ」
ふいに声をかけられて、振り返った瞬間、
「――――この写真、僕が撮ったんだ」
シャッターが切られ、私は彼の瞳の輝きに、惹き付けられていた。
けれど、これは青春の物語ではない。
これは、夜の校舎をさまよう一筋の影の化け物の物語。
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