カダル様と私

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 一年中夏のパプリポン王国、首都外れの森。私はここで暮らす、わけありワンコ。ある日散歩をしていると、人が倒れているのを見つけました。  彼は高価な衣服をまとっていました。帯剣していましたが、つかに豪華な宝石の装飾が施してあります。そういうのは森では邪魔なだけなんですが。私は駆け寄って、その方の顔に鼻づらをあてました。  「う……」  意識があります。  「しっかりしてください」  「犬が……しゃべった……」  「私は人語を解せるのです。あなたはどういうお方ですか」  「この国の国王……その名もカダルカット、早くに親父が死んだので16歳で戴冠した未婚の青年王だ……現在23歳、この美顔と頭脳、長身、細マッチョに女の子達はもうメロメロのはず……オレはやると言ったら、成し遂げる男……」  自己紹介の長いお方でした。  「私は森のワンコ、ポチです」  「森の犬が……何故ポチ」  がダル様は朦朧とした意識の中で私を見上げました。  「首輪…? 誰の犬だ」  「誰のものでもありません。国王様がどうして一人で森に倒れているのですか」  「一人の方がカッコいいと思って」
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