3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ひん死の人間に油もの……どういう神経してるんだ……」
「ちゃんと醤油もついていますよ」
カダル様は嫌々油揚げを口にしました。
「ウマ!」あっという間に飛び起きました。「これうまいじゃん」
「ジェイドの食べ物は特別なんです。身体に力がみなぎるんですよ」
「そうか!」
カダル様はもりもり油揚げを食べました。私は説明しました。
「森の生き物はみんなジェイドからかっぱらって暮してます」
「ジェイドのおっさん、実は気の毒な奴なのか?」
カダル様は食べ終わってすっくと立ち上がりました。
「やっぱ油揚げの後は熱い緑茶がいーけど、ここは湧き水で我慢しとくか」
彼が軽い足取りで歩き出すので、私もついてゆきます。彼は湧き水の出る場所で喉を潤しました。
「よし、渇きも癒えたし元気も出た。しかしこれからどうしよう。あんなボインちゃんほっといたら他の国の王子に横取りされちゃうよ……でもジェイドは強いし」
「私が手を貸しましょう」
「油揚げかっぱらうんじゃないんだぞ。奴を倒すんだ。犬に何ができるんだよ」
「まあ、連れてって下さいよ」
最初のコメントを投稿しよう!