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『やっぱりミルクセーキはリーゲルじゃないとだめね』
ディオカストはCMに映ったエヴァを見て呟いた。
「少し笑いすぎだ」
「でもあのミルクセーキ、本当においしかったの」
エヴァは23歳。黒髪ボブカットが似合うと評判の、売れっ子女優だ。ディナーをつついている彼の前に追加のお茶を置いた。彼女は彼の大邸宅で同棲している。
彼はフォークを振りながら、注文をつけた。
「エヴァはイメージを大事にすることがわかってない。君は清純派なんだ。小鳥のようにさえずって、小鳥のように笑うんだよ。あんな大口開けるもんじゃない」
彼は彼女より10歳年上の婚約者だった。彼は元武人。闘争の果てに一代でエデン共和国を築いた男だっだ。
翌週は彼の映画の試写会。彼はファンに挨拶するとスクリーンの後ろに下がった。彼は国政が軌道に乗った後は、政治の傍ら、俳優の才能も発揮していた。
民主国家で公務員はアルバイトをしてはいけないが、ここは彼のための、いわば帝国だった。表向き民主主義と言論の自由をうたい、メディアを開放しているが、彼は自分のために法律を変えてしまった。
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