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エヴァはうれしくなって竹刀を振った。
「イーッ」
下積みは竹刀の正しい持ち方、振り方を教えてくれた。
エヴァは言われた通りに振るう。
「イーッ」
下積みはたいそう褒めてくれた。やはり女優さんですね。もともと身体を作ってるから筋がいいし、覚えも早い。
エヴァは頬を高潮させてたずねた。
「本当」
「イーッ」
動かしたエヴァの身体はぽかぽか暖かくなってきた。
「あなたは何というの」
「イーッ」
下積みは答えた。私は“下っ端6”です。
その時、割って入る声がした。
「何やってるんだ、エヴァ!」
「ディオカスト」
「ランチの時間に来ないと思ったら、こんなむさくるしい所に。竹刀を振るうなんて気でもおかしくなったのか。パパラッチに撮られたらどうする。自分のイメージが守れないのか」
「すみません。楽しくて」
「役者は楽しんでる暇なんかないんだ!」
ディオカストは今度は下積み達に向かって一喝した。
「金輪際、エヴァに竹刀を持たせるな」
「イーッ」
下積みが全員敬礼をした。彼らが十戒のように道を開ける中、彼女はディオカストに連行された。
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