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こんなに憂鬱じゃない日曜の夜もまた初めてだった。
そりゃ仕事には行きたくない。雪と離れたくない。
でもなんか、雪と週末を過ごして、あんなに嫌だった会社も乗り越えられる気がしていた。
その夜、二人でアイスを食べた。
土曜にスーパーへ行った時、雪と食べようと6本入りのアイスを買っておいた。
袋から取り出し雪に渡す。
「ここの棒を持って食べるんだよ。」
雪は目を輝かせて食べ始めた。
俺も食べる。
「ほいひー」
雪が言った。
“おいしい”って言ったのか?
かわいい。
二人でアイスを食べながら、目が合うと雪がニコッと笑う。
俺もつられて笑って…
何これ、
幸せすぎる。
幸せで、つい調子に乗った。
いや、思えば一日中、調子に乗ってたよ。
雪に抱きつきたくなったり、キスしようとしたり。
雪の何をしても許してくれそうな雰囲気に
アイスを食べ終えた時
つい、聞いてしまった。
「そう言えば、雪はどこから来たの?」
雪は俺をじっと見た。
と、次の瞬間雪にキスされていた。
アイスを食べていたからか冷たい雪の唇。
冷た過ぎてゾクっとした。
唇が離れ
「聞いちゃダメ…」
そう言った雪の表情は微笑んでいるのに唇と同じに冷たかった。
別人みたいに。
自分の鼓動がハッキリと聞こえる。
それは雪にキスされたからで
初めて雪に拒絶されたからで
雪の知らない表情を見たからだった。
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