アイちゃんは天邪鬼

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 アイちゃんに元気づけられた俺はテレビを消し、これ以上余計なデマ情報を耳にしないようにした。割り箸を割り、サラダの一番上に乗っかっているミニトマトをそれで摘まんでいると、ザアッと今度は聞こえる雨音。 「え〜、雨かよ。俺明日、外回りなんだけど」  いつ止むんだろう。そう思ったから、聞く。 「おーい、アイちゃん」 「はい、吾一さん。なにかご用ですか?」 「今の天気はどう」  言って、間違えたことに気付く。けれど「じゃなくて、明日の天気はどう」と訂正する前に、アイちゃんはこう答えた。 「今の天気は、晴れです。綺麗な星空が見えるでしょう」  その瞬間、割り箸から落ちるミニトマト。続けてその割り箸も俺の手を離れ、卓で軽い音を立てた。  窓の外、星なんてひとつも見えやしない暗い空。俺はAIのカスタマイズ変更を、結局やり忘れていたのだ。  アイちゃんはまだ、天邪鬼のままだった。  俺は先ほどしたアイちゃんとの会話を、頭の中で順に並べ、そしてそれを、最後に下から読み返した。
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