アイちゃんは天邪鬼

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 読み終わり、「おお」と目を丸くさせる桔平。 「すっげ。結末変わったじゃん」 「だろ?」 「なにこれ、どーやんの。俺もやりたい」 「んと、それじゃあまず設定飛んで、AIんとこ開いて、カスタマイズするところからだな」 「カスタマイズ?」 「スマホに色々な情報を入力して、自分仕様にすんだよ。AIの名前もここで決められるし。それから例えばこんな小説を読みたいんだったら『超短編小説』とか『逆さから読んでも文になる』とか入れて」 「なんだよそれちょと待て。今の時代のAIって、そんな複雑なわがままにも応えてくれるのか?」 「おうよ。だけど俺、ちょっとカスタマイズミスったっぽくて。なんかうちのアイちゃん、いちいち天邪鬼なんだよなあ。俺に対して、真逆の情報教えてくるようになった」 「真逆の情報?」  どういう意味、と桔平の首が斜めに傾く。俺は「こんな感じだよ」とアイちゃんを呼び起こした。 「おーい、アイちゃん」 「はい、吾一さん。なにかご用ですか?」 「今の天気はどう」 「今の天気は、雨です。傘を持ってお出かけくださいね」  窓の外、清々しいほど晴れ渡っている今日の空。「真逆だろ?」と桔平を見ると、彼は呆れて言う。 「その設定、直した方がよくないか?」
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