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そうなんだよ、と俺は即答。だけどこうも付け足した。
「でも一旦考えるから、頭の運動にはなるんじゃないかと思って」
「ははっ。頭の運動って」
「だってAIにまるまる真実を語られてそれを耳に入れてるだけじゃ、そのうちAIのせいでばかになりそうじゃん」
「AIは彼女なんじゃなかったのかよ。ひどい言い草だな。でもそれだと、ニュースとかはどうなるんだよ」
「ニュース?」
「円安を円高だって伝えてきたり、他国で戦争が起きてるのに『◯◯国は今日も平和です』とかって伝えてくんの?」
「知らねー。ニュースなんて、俺テレビでも見ないしスマホでも調べないし」
「まじかよ。じゃあもしかして、今世界で起こってることも知らない感じ?」
「世界?」
「なんか世界各国で、異常なほど大地震が発生してるらしいぜ。過去に類を見ないくらいに。そろそろ地球がやばいんじゃないかって言ってる専門家もいて──」
その時、ガダガダ!とビル全体が揺れ動く。椅子に座っていた俺はデスクを、立っていた桔平は俺の肩にしがみつく。
あまりの揺れに、「きゃあ!」と女性社員が慌てふためいて、デスクの下へと潜っていった。
しばらくが経ち、俺は桔平と目を合わせる。
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