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「智奈は進学したでしょ?短大だけど短大だから忙しいっていうのもあるみたいで、私も入社して最初の二年は余裕もなくて会う暇もなかったら電話とメールを時々ね。それも智奈が結婚してからやっぱり減って来て今は自然消滅みたいな感じ?連絡すればいいんだろうけど子供がいる家庭には連絡しずらいわよね?」
「あー…そうだよね。……私もそう思って…連絡しなかったの。」
これ幸いと言い訳に乗ってみた。
まさか話す事がないから今更と思って…とも言えない。
「私は一人だから元宮さんの都合のいい時にメールでも電話でもして?こっちに知り合いもいないから寂しかったの。三ヶ月の予定で新規店舗の手伝いに来てるのよ。私なら事務も営業も手伝えるからって。」
そうなんだ、と今日は時間がないからと答えてレジに並び、その間も坂上は話をしていたが、メールでいいなら連絡するというと静かになり、じゃあまたねと別れた。
(悪い子ではないのよね…あ、悪い人では…か。お互いもういい年齢だし地元に近いけど知ってる人に会うわけでもないから話したいだけなのかもね。)
結婚して家庭に入ってしまうと途端に人との接点がなくなり話さなくなったり、子供が産まれたら暫くはつきっきりでやはり人と会うのが億劫になったり、結婚しないで一人でいたら仕事に追われて同じ様に家に帰れば案外億劫で人とは話さないのかもしれないと考えて、女の人生って結婚してもしなくても孤独な時間があるのかななんて思うと、話し位してもいいのかな、と思い始めた。
(智希も今は一人の孤独と戦っているのだしね…女も男も同じか。人生は孤独…なんか嫌だな。)
変な事を考えているなと思いながら、やめやめと前を向き自転車を漕いだ。
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