単身アパート突撃

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「自分の中で優先順位を間違えている、これが愛情の欠落だよ。仕事優先も仕方ないけどそれは家庭があってこそで、家庭が下になるなら結婚しないで仕事だけしていればいい。子供が怪我なんかで入院した時に来ない親なんて…そこは仕事より子供を優先するところ。それを間違える人がいる。欠落だね。」 「はぁ……斉藤さん、年の功ですねぇ。」 と思わず言うと斉藤さんは笑顔でこう返した。 「たまには潮田さんも優先順位を子供から旦那さんに変えてみてもいいんじゃない?旦那さんが帰って来るのが大変なら行ってみるのもいいんじゃない?」 言われてみればもう八か月が経過していて、最初の引っ越しの時に掃除などを手伝いに行ったきりで、子供がいるから交通費かかるからという理由で私は智希の所には行っていない。 斉藤さん曰く、旦那さんの大変の中には家事もあるでしょ?と言われると、智希はお休みにまとめて掃除と洗濯をすると聞いた覚えがあって、休みにこっちに戻ると洗濯は私がするけど部屋の掃除は誰も出来ない訳で、その部屋のまままた一週間を過ごす事になる……と思うと今までそこに考えが至らなかった事に反省をした。 (寝に帰る部屋と言っても汚れるものね。埃はそんな事関係ないから。) 「優先順位を変えるかぁ…。」 呟きながら斉藤さんを見ると頷いてから続けてくれた。 「たまには旦那さん優先でもいいと思うわよ?お子さんは誰か預けるとか?預け先がないなら仕方ないけどね。」 「あ、いえ、幸い私の実家もそこまで遠くはないので車で行ける距離ですし、学校がなければ泊まりでも大丈夫です。」 「それなら…たまには甘えて時間を作って応援に行くのもいいと思うわよ。」 「なるほど。応援。」 うんうんと頷き、私は斉藤さんにお礼を言った。 斉藤さんは本当にいいアドバイスをくれる。
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