単身アパート突撃

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せっかくだから驚かせようと敢えて連絡をせず、帰って来た次の週末に智希のアパートに行く事にした。 帰って来た時にアパートの話をさりげなくに聞いて、生活はどうかの情報収集をした。 「もうすぐ一年になるね。アパートの暮らしはどう?慣れた?」 寒くなっても一人では鍋はしないと言うので、週末に帰宅した智希のリクエストで夕食は牡蠣鍋にした。 私と愛華は苦手なのでお肉も入っているから完全な牡蠣鍋ではないけれど、智希と海斗は大好きなので取り合いの様に牡蠣を食べていた。 「そろそろ一年かぁ。なんか必死だったからあっという間だったなぁ。一人暮らしはそれなりに?出来てると思うよ。忙しい時の食事がコンビニ頼りになってしまうのがちょっとアレだけど…。」 「確かにずっとコンビニでは栄養が偏りそうね。」 残された子供達との生活で私なりに必死だったけれど、夫である智希の事ももっと考えてあげなければいけなかったと反省した。 子供達の心のケアばかりを考えて智希は大人だし自分の仕事の都合だしと、大丈夫だろうと考えてしまったが、大人でも寂しいのは同じで急な一人暮らしで慣れない事も同じなのにと、やっぱり応援に行かなくちゃと改めて思っていた。 「外食はしないの?」 「お金がかかるからね。付き合いで会社の人と食べて帰ったりする事がたまにあるけど、ご飯食べて終わりとは行かないから割とお金がかかるんだよね。だから一人では外食はしない様にしてる。コンビニ弁当も最近は高いけどね。」 「そうね。」 同意して私の頭の中に買い物の値段が浮かんだ。 パートの時給に変化はないのに、消費税アップと物価高は地味に暮らしている我が家にもじわじわとボディブローを喰らわして来る。 子供には国産の安心な物を食べさせたいが、総て国産にしたら我が家の財政が破綻する。 せめてこの国はお肉なら大丈夫とか、お魚はここならとか、何とか折り合いを付けて少しでも安心で安い物を買う様にしていた。 外食我慢も頷けるが、お昼までも最近は高いからと週に二日はパンにしてるなどと聞くと、安く食材を買い込んで作って持って行ける分と向こうで作る分と考えようと決めていた。 そして次の週末に実家で子供達を預かってくれる事になり、土曜日は仕事がないので家にいるという情報だけを確認して、忙しい智希の食を支え智希を応援するべく、前日から料理を頑張り重い荷物を手に智希のアパートに突撃した。
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