単身アパート突撃

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土日を利用しての突撃お手伝い訪問は大成功だった。 智希は子供達を心配していたけれど、一泊していくけど日曜の昼前には帰るねと話すと嬉しそうにしていた。 「あの子達も行きたいって言ってたけど、移動で疲れちゃうし荷物も多くなるでしょ。私一人の方が身軽に来れるから長いお休みの時に三人で行こうねって約束したの。その時はまたこっそり突撃するからよろしくね?」 「おおー、それは楽しみだなぁ。だけど本当にドアを開けたら真由子がいてびっくりしたよ。会いたくて夢でも見てるのかと思った。」 「本当にー?他の誰かを想像しててがっくりしたんじゃないのー?」 冗談でそう話すと、智希に後ろから抱きしめられた。 「真由子と子供達が一番だから…他なんか興味ないよ。」 「……ありがと。」 腕をぎゅっと握って心から幸せを感じて返事をした。 何年振りかの二人だけの時間を過ごして、智希に何度もお礼を言われて玄関でぎゅうーっとハグをして、駅まで送るという智希と部屋を出て、無事に任務を終えて私は家に帰った。 車ですぐ子供達を迎えに行き、親の言葉に甘えて夕ご飯を戴いて子供達と帰宅し、父親の様子を話してお風呂に入りのんびりしていると子供達の元に智希からのビデオ通話が入り、子供達はそれぞれに外泊の様子を話して幸せな中で忙しかった私の週末は終わった。 月曜日に斉藤さんにお礼を伝えて、行って良かったと話した。 「実際に週末を使って自分が行ってみて楽しいけど疲れるなって分かったというか…。今までは夫は家に来るのだから、子供達にも会えて洗濯物も少しは持って帰って来るし、家に戻ると食事や洗濯は私がするから新しい下着やワイシャツも持って帰ってもらうし一人でアパートにいるより休めるって思っていたんです。移動が大変だろうから家では休める様に気を遣っていたつもりでしたし…。アパートに行ってそこに智希の生活があって、洗濯や掃除、こっちに来てる時間出来ないんだなって改めて実感しました。本当に行って良かったです。」 「何よりだわ。潮田さんの事だから行ける時は行ってあげようと考えていると思うけど、今度は潮田さんが無理をしたら駄目よ?単身赴任が長くなるなら無理をするとお互いにイライラしたりして帰ってやってるのに!みたいな考えが出て来ちゃうからね。楽しんで行ける程度が一番なのよ。やってって考えが一番良くないのよ。」 「さすが、斉藤さん。」 感心して答えて二人で顔を見合わせて笑ってしまったけれど、本当に斉藤さんはすごいなと思うと、斉藤さんの人生を少し知りたくなった。
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