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幸せな日常
「おかあさん!連絡帳ない!」
「ええ?ない訳ないでしょ。昨日、ちゃんと書いてランドセルに入れたよ?ちゃんと見て!教科書の間とか、ね?」
流しでお茶碗を洗っているとスカートの裾を引っ張って言われ、前にもあったなぁと思いながら少し振り返り答えた。
少し潤んだ目でパタパタ走っていき、懸命に連絡帳を探すのは小学一年の息子。
少し甘えん坊の長男の海斗。
「お母さん、これでいい?」
「うん…似合ってるよ。気を付けてね。あ、海斗待っててあげて。」
「うん、時間あるから大丈夫だよ。」
玄関の上り口で新しい靴をご機嫌に履くのは長女の愛華、小学三年生。
上の子は父親が名付け親、漢字の並びが何処かにありそうなスナックみたいで嫌だって言ったんだけど、キラキラネームっぽくて可愛いで押された。
下の子の名付け親は私でその時の推しアイドルの歌から付けた。
何となく腑に落ちないのはお互い様っていうことで。
「おかあさーん!あったぁ!教科書の間ー!」
嬉しそうに見せびらかすから、それを取り上げて改めて一番端に入れる。
「ここね?いい?先生にちゃんと出してよ?」
うんうんと首を縦に思いっきり振っているがそれが不安だ。
とっても不安だ。
息子はアレルギー持ち。
今時は珍しくもないが最初に何のアレルギーでどう対処するか薬はあるかを書いておく。
幸いうちはエピペンを使う程ではなく、意識を失う程の発作は起こした事はない。落ち着いて薬を飲む事で治る。
反応は軽い痒みと酷い時に少しの蕁麻疹。
それでもいざという時の為、エピペンは持たせてある。
お医者様の話では少しずつ食べる事で、大人になる過程で治っていく事もあるのだとか。
幸い牛乳だけで乳製品も小さな頃はダメだったが、一口食べ、少し痒い程度で今もお医者様の指導の元、少し食べ、を続けている。
親としてはドキドキだけれど。
「おお!海斗、おはよう。学校慣れたか?」
今日は遅くていいと言っていた夫が顔を出し、海斗を撫でて海斗もご満悦。
「海斗ー?もう行くよ。」
「愛華、おはよう。気を付けてな?」
「おはよう!お父さん、お母さん、行ってきます。」
「いってきまーす。」
「行ってらっしゃい!」
「車には気を付けろよー。」
ダイニングテーブルに座ると同時に夫が叫び、子供達が閉まるドアの合間から返事をしたのが聞こえた。
これが我が家のドタバタした朝の日常。
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