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その夜、久し振りに親友の美由紀に連絡をした。
何となく坂上と話すより先に親友に話したくなったのだ。
美由紀は現在、遠く離れた場所に住んでいて旦那様は会社員で普通の四人家族だ。
子供が寝たかなと思う時間、それでも遅過ぎると良くないので先にメールをしてから電話をした。
『もしもし、真由子久し振り!どうしたの?今から電話していいなんて、何かあった?』
電話を鳴らすとワンコールで出てくれた親友は、本当に久し振りの通話なのに心配が伝わる声色をしていた。
「久し振り!何か…って程の事じゃないの。美由紀の友達の加藤智奈さんて覚えてる、よね?」
『智奈?勿論、覚えてるよ。中学から一緒だったんだし。……智奈がどうかした?』
「ううん、その加藤さんのね、同じクラスの子いたでしょ?坂上繭子さん。彼女に会ってね、ばったり。声掛けられたの。それで連絡先渡されたんだけどそこまで彼女と話した事もないし、どんな人だったか連絡する前に聞いておこうかなって。」
『ばったり会うって凄いね。地元にいてもそうそう会わないと思うんだけど。私も印象が薄いなぁ…あ、でも悪い子ではないよ?物静かで引っ込み思案かな?あの頃も智奈の後ろに隠れてる感じだったなぁ。智奈がよく言ってたのは思い込みが激しいだったかな?』
「思い込みが激しい?」
『うん。クラスで席替えとか班決めとかするでしょ?そういう時、自分がこの席だと横の人が嫌がるとか、あの人は自分が嫌いみたいだから同じ班は無理とか智奈に話してたらしくてね。実際は嫌われてないし嫌がられる程、クラスで存在感があったわけでも意地悪するわけでもなくてね?引っ込み思案だからさ、誰もそんな事思ってないよって智奈はいつも言ってたって。』
「へぇ…意外……おとなしいイメージは確かにあったんだけど、なんか凄い明るいし元気だしなんならお喋りな位だったよ。」
『へ〜〜ぇ〜人って変わるのねぇ。まぁ、でもさ、いつまでも引っ込み思案じゃ仕事も困るだろうしね。彼女、確か就職組だったでしょ。』
「うん、今も同じ会社で働いているって言ってた。加藤さんとは少しずつ連絡が出来なくなったって。」
『まぁ…お互い忙しいしそうなるわよ。真由子は?最近どうなの?元気そうだけどご家族も変わりなく?』
「うん!あ、智希が単身赴任してる。」
『あー今まで移動禁止みたいなとこあったからね。寂しいね?』
美由紀のにやっとした顔が思い出された。
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