本当の事

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話すよ、と言った智希は少し待っててと言うと隣の部屋に行き、一枚の写真を手に戻り私の座るテーブルの上に置いてから椅子に座った。 集団で撮られた写真でお店のエプロンをしている人が真ん中に写っているので、何処かのお店の中と分かった。 (見た事あるような?これ、坂上さんが持って来たあの印刷された写真と似たような?ワイシャツなんていつも同じに見えるし…後ろのお店の感じが少し違う。) 間違いないとまじまじと見てから知っている写真と気付かれないように聞き返した。 「ビールの宣伝?」 「そう。新ビールを大量に置いてくれる店舗で試飲会イベントした時。後ろの列に僕も写ってるけどその横にいる子が多分、真由子が誤解している子だと思う。」 そう言われて智希の横にいる子をまじまじと見る。 「あー…確かに。動画の子ね。」 写真を見てあの動画と同じ子だと確信し、それでと聞き返す。 「彼女は派遣さんで、今はもう契約が終わっていてうちの会社には来ていないんだ。これは契約が切れる一カ月程前の写真になる。」 「ふぅん…。この日が二人の始まり❤️…とでも言いたいわけ?」 ちなみにハートは実際言葉にしてはいないが、雰囲気でそれっぽく聞こえる様に嫌味を込めて言ってみた。 「違っ!始まってないから!何も!!何一つ!!始まってないから!!!」 尋常じゃない力強さで言われたので圧に押されて、 「そ、う…それは良かったわ。」 と思わず言ってしまった。 「確かにあの動画は事実で、僕は彼女の部屋に何度かお邪魔してました。だけど本当に何もない!笑顔だと言われたらある意味、笑顔になるしかないと言うか…真由子だって愛華の友達のお父さんとかに急にパート先で会ったら笑顔になるだろ?そういう感じの笑顔であって…決して好意があるからの笑顔とかではないんだ。」 (………ん?) 確かに笑顔には拘っていたけれども、そこじゃないんだと私は智希を睨んだ。 「私はこの女が智希のなんなのか、を聞いてるの。この女が私より大事で子供達より優先するべき女なのかそうじゃないのかを聞いてるの!この女を好きなのかなんでこんな女を私より優先したのか、そんなに若い方がいいのかを聞いてるの!!」 バン!とテーブルを叩いて言うと智希が慌てて関係ないを連呼し話し始めた。
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