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「本当に関係ないから!真由子の言う若い女の子は…実は彼女…本社の専務の娘なんだ。現場で知り合って偶々、来ていた専務の様子がおかしい事に気が付いて、専務と二人でいるのも見掛けたし変だなと思っていたら専務が話しかけて来た。僕と彼女が仲が良さそうに見えたらしくて、専務の様子がおかしくてね?それで僕はそれを否定して専務にそれとなくどうしてそんな事を聞くのかを聞いたんだ。本社の偉い人とその日手伝いで来てた派遣された女の子が親密に話していたらおかしいから。」
少し支離滅裂になりかけながらも慌てた様に早口で智希は話していた。
「専務のお嬢さんと浮気したって事?だから浮気を黙っててって私に言うの?」
怒りを全面に出した私に智希は慌てて両手を前に出しバタバタとした。
「違う!!落ち着いて真由子!本当に浮気じゃない!!情けない事で真由子には知られたくないって…そんな情けない男だと思われたくなくて…。」
一気にショボンとした智希を見てため息と共に言葉を投げた。
「そんな…そんなに落ち込むなんてどんな情けない事をしたって言うのよ?浮気相手に鼻の下伸ばす以上に情けない事って他にある?!」
「……家に帰らなくなった時期、半年過ぎ位かな。実はこっちに来た専務からあと三年の予定でいてもらうって言われたんだ。」
「えっ!?三年!!」
初耳の上にそろそろ帰れるかもなんて思っていたの三年の発言に声が大きくなってしまった。
「あと三年もなんて嫌だから、帰りたいから!だから…専務のお嬢さんと知って、専務が一人暮らしの心配をされているのもある事をきっかけに知って…情けなくも…僕は専務のご機嫌を取るためにお嬢さんの御用聞きみたいなことをしていたんだ。」
呆然とした。
一瞬、智希が何を言っているのか分からなくて聞き返した。
「ご、よう、きき?」
(えっ?なに?浮気の言い訳それ?それ言い訳?)
瞬時に冷静な頭が戻って来て声を出す。
「御用聞きって何よ!そんな…くだらない嘘ついて。専務の娘の御用聞きしてたって部屋に出入りしてた事を認めた様なものじゃない。専務の娘ね、いいわよ。会社を首になるのはお金が減るから本意じゃないけど…裁判でいいわ。専務の娘も引きずり出して出るとこ出て白黒つけようじゃないの!!」
(証拠がないと思って舐めんじゃないわよ!)
あんないい顔で笑っておいて部屋に入って冗談じゃないわと、私は智希を再び睨み付けていた。
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