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「専務ね、ずっと仕事人間で家庭を顧みた事がない、娘が中学に入る前に離婚したって話してくれた。親権は無理だろうって諦めていたけど月一の面会は許されると考えていたのにそれも拒否されたって。奥様は一年後に再婚予定で早く新しい家族になりたいからって言われたらしくて、娘さんの気持ちはどうなのか聞いたら、いつもいないし話もした記憶がないから別にいいって言われたと弁護士伝手に返事が来た。以来、会ってない。僕も愛華いるし仕事だって家族の為にしてるのにそんなのひどいて思ったんだ。」
「専務と浮気の関係性が分からないんだけど?」
「真由子のすぐ結論に持って行こうとするとこ、よくないと思うぞ?」
ジーッと目を見て言われたので小さく謝ってから、いやいや待て!と声を上げた。
「とにかく!専務に同情したんだ。そこでイベントの時の質問や派遣の彼女と親密な様子を聞いて…それで鈴木麻由香さんが専務のお嬢さんだって聞いた。」
「えっ!!本当に専務のお嬢さんなの?」
ここいち大きな声が出て、自分でびっくりして口に手を当てると、智希が情けない声を出す。
「嘘だと思ってたのか?この状況で嘘言ってどうするんだよ。」
「だって…専務のお嬢さんて言えば私が彼女に何も出来ないと思ってるとかかなって。それに派遣で来てる子が専務のお嬢さんってそんな……分かったわよ、信じるわよ、そこは!」
そんな都合の良いと言おうとしたが、恨めしい目で見られたのでそこは信じる事にした。
「専務が言うにはスマホ番号も分からずで見つけたSNSもキモいってコメント来て見れなくなったって。様子が知りたいて言われて、一人暮らしを始めたのは聞いていて何か男手がなくて困る事があったら連絡する様に元奥様に伝言したらしいけど連絡は当然なくて、それをやってくれないかって言われたんだ。仲良くなっていつか橋渡し?専務とさりげなく引き合わせる。出来なくても協力してくれたら本社の会議で戻る内容の事が出たら戻れる方向に話を持っていく様尽力してもいい、そう約束してくれたんだ。一年でも短くなったら少しでも早く帰れるならやりますって…僕は、引き受けた。」
情けなくてごめんと、と小さく智希が呟いた。
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