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「マリーちゃん、みんなが怖がるようなことや、先生のお仕事の邪魔をしないで欲しいの」
本のことなら何でもわかる先生も、恐い話は苦手でした。
でも、みんなが図書室にたくさん来てくれるためにも、なんとかマリーちゃんと話をしなければいけません。
「マリーちゃん。返事してよ……」
すると、本棚のガラスの人形ケースの中から声がしました。
「わたし、悪くないわよ。動き出すのは誰もいなくなってからだし、ここは図書室なんだから本を借りたり、読んだりするの当たり前でしょ?
先生に怒られるすじあいはないわぁ」
マリーちゃんは、よいしょと言いながら箱から出てきました。
さゆり先生はマリーちゃんの声をはじめて聞きました。
鳥がさえずるような可愛らしい声です。
先生は、びっくりして二回瞬きをしました。
そして、考えました。
マリーちゃんの言うことももっともです。
歌ったり踊ったりするのは人がいなくなってからだし、みんなの図書室なんだからマリーちゃんにだって、本を読む権利があるような気がしたからです。
「さゆり先生、聞こえてる?」
マリーちゃんに名前を呼ばれて先生はハッとしました。
そういえば、この学校に始めてきた時、校長先生が『マリーちゃんが、昔みたいにみんなのお友達になれるようにお手伝いしてくださいね』といったのを思い出したからです。
言われた時は、不思議に思っていましたが校長先生は、マリーちゃんが寂しがっていたことを知っていたのでしょう。
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