運命られた未来(あした)

3/17
75人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
かき氷は、まぎれもなく私の大好物だった。ましてこのうだるような暑さの中にいたこともあり、冷たい氷の誘惑には抗いがたいものがあった。 「かき氷……」と、迷っていると、「行こうよ。かき氷を食べに」と、彼にぐいと手を引かれた。 「だけど私、待ってる人がいて……」 だって、この日に告白しなければ、先生はもういなくなってしまうのに……。 「暑い中で来ない人を待ち続けるのと、おいしくて冷たい氷を食べるのと、君はどっちがいい選択だと思う?」 「……。それは……」 さすがに誘惑に負けそうになっている私の耳に、 「すごくおいしいかき氷屋さん、知ってるんだよね」 その一言は、あまりに魅力的に響いて、ゴクッと思わず喉を鳴らした。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!