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かき氷は、まぎれもなく私の大好物だった。ましてこのうだるような暑さの中にいたこともあり、冷たい氷の誘惑には抗いがたいものがあった。
「かき氷……」と、迷っていると、「行こうよ。かき氷を食べに」と、彼にぐいと手を引かれた。
「だけど私、待ってる人がいて……」
だって、この日に告白しなければ、先生はもういなくなってしまうのに……。
「暑い中で来ない人を待ち続けるのと、おいしくて冷たい氷を食べるのと、君はどっちがいい選択だと思う?」
「……。それは……」
さすがに誘惑に負けそうになっている私の耳に、
「すごくおいしいかき氷屋さん、知ってるんだよね」
その一言は、あまりに魅力的に響いて、ゴクッと思わず喉を鳴らした。
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