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「……ねぇ、まだどこかに行くなら、そろそろ名前くらい教えてくれない? 私は、叶子。叶える子って書いて、カナコ」
「僕……、僕は……勇気。漢字はそのまま勇ましいに気で、ユウキ」
「勇気か……」
呟くと、なぜだかノスタルジックにも感じられる思いが、ふと胸を込み上げた。
「そ、よろしくね」
差し出された手を、おずおずと握り返すと、身体をビリリッと電流が走り抜けたような気がした。
びっくりしてパッと手を離すと、「もしかして、運命、感じちゃったとか?」彼はそんなセリフを冗談めかして吐いて、ニッと口の端で笑って見せた。
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