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──彼に連れられてやって来たのは、遊園地の中にあるものではなく、最近よくある古民家などで催される企画もののお化け屋敷だった。
二人でキャーキャーと声を上げ、次々と現れる仕掛けにビクビクと脅えながら回るうちに、自然と距離が近づいてくる。
「恐かったー」外に出て言うと、彼も「ほんと恐かった!」と返して、「さすがに恐いって、言ってただけあるね」と、どこか含みのある言い方をした。
「……言ってたって、誰が?」
「あっ、ああーっと、うん、友達……かな」
彼はそう曖昧にごまかして、「次は、ナイトプールに行こうよ」と、私に誘いかけた。
「ナイトプール? まだどっか行くの?」
「そう、さっきも言ったでしょ。せっかく会えたんだからって。だから今日はとことん楽しまなきゃ!」
どうにも断れそうにない無邪気な笑い顔で言うと、彼はまるで子供みたいに私の手を引っ張った。
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