75人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
運命られた未来(あした)
西陽が照りつける真夏のその日、私はドキドキと緊張しきりでいた。
なぜなら、今日でこの高校を去ってしまう今井先生に、告白をしようと思っていたから──。
駐車スペースに停められた先生の車のそばで、帰りを今か今かと待っていると、後ろから、「ねぇ、何してるの?」と、ふと声をかけられた。
「えっ?」と、驚いて振り向く。
するとそこには、私と同じ高校生ぐらいの男の子が立っていた。
「えーっと、あなた誰……?」
見覚えの全くない顔に、そう尋ねると、
「……僕? そんなことよりさ、」と、彼は軽くはぐらかして、「ねぇ、そこで何してるの?」と、再び同じようにくり返した。
「……何って、別に……」
まさか告白をしようとしているとも言えずに、口ごもる私に、
「別に何もしていないんだったらさ、僕に付き合ってくれない?」
不意にそう言ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!