変えられないもの

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 「山本さん」  ホールからでてきた五十嵐さんが駆け寄ってくる。  「探しちゃいました。気がついたらいなかったから」  五十嵐さんはいつもと変わらない。  「すみません、誰かと話してたから」  なるべく、何事も無かったように振る舞う。自分の感情を悟られないように。  「あぁ。そうですよね、私こそごめんなさい」  五十嵐さんは横に座りながら、中学時代の友人なんだと教えてくれた。  その彼女も、美術部の知り合いの絵を見に来ていたらしい。  「山本さんの絵、素敵でしたよ」  「絵?」  一瞬、なんのことか分からなかった。そういえば、私が描いた絵を見に来たんだっけ。それだけじゃないけど。  「いいんですか?さっきの人は」  ちょっと、嫌味っぽく言ってみる。なんか、ちょっと言ってみたくなった。 今は、素直にその言葉を受け止められる余裕はなかった。  「大丈夫ですよ。彼女も別の人と来ていたみたいなので」  と軽くいなされた。 私は、  「そうですか」  と返すことしか出来なかった。もっと心がざわついた。慣れないことをするものじゃないな。と心の中で後悔していた。  それから数日経ったある日―
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