青春に包まれたなら

変えられないもの

　とある日の放課後、珍しく美術部の同級生の石橋遼河に遊びに誘われていた。
　普通に話しはするけど、特に好きとか嫌いとかはなく、特別親しいわけでもない。
　そもそも2人で遊んだことはなかったし、何を話していいのかもわからない。普段話していて何となく思うのは、考え方や好きなことは違うな、ということ。
　いつもは別の友達と一緒にいるし、正直今くらいの距離感がちょうどいい、と思っていた。から、とりあえず断るつもりだった。

　だけど、2人きりじゃないから、とか、今回だけ、とか何度も頼まれたから、まぁ今回だけなら、と折れてしまった。
　待ち合わせ場所はカラオケだった。

　初めてでいきなりカラオケなの？まずご飯とかじゃないの？
　最近は、友人と学校以外で遊ぶことがほとんどなかったから、一般的なことがどうなのかわからない。

　ただ、特別親しくない人とカラオケはあまり来たくないし、今からでも引き返したかった。でも、断る勇気もなく、あとから来るという彼女の友達を、建物の前で待っていた。

　程なくして、彼女の名前を呼ぶ女の子の声がした。