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「噂話にしか過ぎないのが学校の怪談なんだけどね」
前置きにそう告げた後、クラスの女子はこうも続けた。
「うちの学校小さいからか、高校なのにあるんだよね」
曰く、この学校には八番目の怪談があると。
よくある話でくだらないし、その台詞だけで八番目の内容は察する事ができる。
単純だ。七つの怪談をすべて知ると八番目の怪異が現れると。
八番目だけは皆が知っているとだけあり、細かな手順さえまことしやかに語られる怪異の内容はチープそのもの。
夜の八時八分、学校の階段の八段目に寝そべりムゲンさんを呼び出すのだと。
八の字を横に倒せば無限のマーク。要はメビウスの輪を横倒しの八に見立てたのだろう。
「それってさ」
思いついた疑問を口にだす前に本鈴が鳴り、くだらない疑問は口にだせなかったが。
とは言え、この話をされたのは九月に入ってから。夏休み後に転校して来た僕への、軽いリップ・サービスみたいなものだ。
一学年に付き一クラスと小さいけど、生徒の出入りは激しい学校だから、学校の怪談はコミュニケーション・ツールとして大いに役立つもので、ほんの少しずつ形を変えても、また八番目以前の怪談が語られなくとも機能する様に考えられた物語。
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