八番目の怪談

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同じ恐怖を共有し、秘密を共有し、仲間意識を高める。 危うい言葉だけで作られた、実体のない友情を語るのと同じだ。 僕は裏切られた。 だからここに居る。 社会不適格な子供と揶揄される、未成年を集めた学校に。 社会不適格とされた以上、この学校では多くの問題も起こりそうに思えるのかも知れないが、意外と平穏無事な緩い雰囲気の漂うクラス内では男女間のいさかいもなく、特別視される輩も少ない。 ここでなら、上手くやって行ける。そんな雰囲気の漂う学校なのは皆が皆、一様に隠したがる秘密を抱えているからだろう。 軽口の裏に隠した、苦々しくも痛々しい思いを。 今は転校したての僕が一番の注目株で、クラスの奴らは入れ替わり立ち代わりに話しかけて来る。 そんな中での怪談話。 正直、ガキくさい。 だけど、仲間意識を高めるにはうってつけの内容。七つの話は集まらなくとも八番目はお気楽に試せられるから。
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