八番目の怪談

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前提さえ最初から破提している条件だから、誰もが嘘だと分かっていても盛り上がると楽しむためだけに放置され独り歩きする怪談話。 友達作りのきっかけに創作されたお話なのは一目瞭然。 だから僕は放課後、転校後に真っ先に無粋な一言を投げた奴に声をかけた。 『いじめぇ?』などと軽く口にするものじゃない。それ以上の過去さえあるのだから。 「なあ、八番目の怪談、試してみない」 軽い振りに相手はすぐに乗ってくれた。こいつも春先に転校して来たと言うから、馴染んだ振りでいるクラスに疲れているのかも知れない。 無粋な一言も、暗黙の了解の内に決められた『過去を聞かない』に気づいていなかったからだろう。正真正銘の社会不適格だから、僕以上にクラスに馴染めていない。 八尋と言う人気アニメキャラクターにあやかった名前を持っていても。 「ああ、あれぇ。できれば八月八日がいいんだってねぇ」 茶色く染め抜かれた髪の先をいじくり回しながら、何が楽しいのか朗らかな調子で、でもどこか気だるげに答える。 その日はとっくに過ぎている。 「怪異探偵ヤヒロの出番だろ」 少しからかいを含んだ調子で、子供に大人気のキャラクター名を口にする。
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