八番目の怪談

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それともここが、世間から少し隔離された所にあるからか。 家の事情が落ち着けば、以前の暮らしに戻るのだと短期で去って行く者も多い場所。 僕も世間が忘れたら、元の生活に戻れるからここは一時の避難場所に過ぎない。 なるべく上手く問題は起こさないでいて、クラスの仲間達と和気あいあいと無難に過ごしていればいい。 面白がるだけの無責任な連中なんて、直ぐに他人の事なんか忘れて新しいニュースに情報通の如く騒ぎ立てるのだから。 男子寮に帰ってさっさとシャワーを浴びて、寮母さんの作り置きである唐揚げ定食をつつきながら他の寮生とだべっていると、新しく八番目の怪談についての情報を聞きだせた。 とは言え、どれも噂話に尾ひれがついたものか、何の役にも立たない内容だったが。 「無限のマークはループだから、他の七つを飛ばしても一つで成り立つ怪談だとさ」 「あー、お前も聞いたのか。やっぱ有名なんだな、八番目の怪談」 有名だから真実になるとでも言いたげな台詞と、まるで信じていない奴らの言葉。 「七不思議の内、三つは知っているぜ」 「前に聞き集めたら、七つどころじゃない数になったぞ」 「嘘の怪談も混じっているから、真の怪談を知らないと駄目って言うぜ」 「真の怪談ってなんだよ」
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