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対して注目するべき情報はないと最初から踏んでいたし、そもそも学校の怪談なんて本物である訳がない。
それでも、遊びのツールには十分な素材。
秘密を共有し、絆を深める道具として、繋がりのない他人とも上手くやるための。
「ああ、僕なんか眠いから一寝入りしてくるよ。点呼前に呼びに来て」
適当な理由をつけて寮の部屋に戻ると、帰って来た時に持ち込んだシューズに履き替えて窓から外へと忍び出る。
スマホは十分に充電できていたし、仲良くする事が目的の奴らは基本屯って塊でいるから、頼んだ時間まで起こしに来ない。
表面上は良い人でいる為に、誰かに深入りなんて絶対にしない奴ら。
お友達ごっこで遊んで、社会に出たら繋がりなんてすぐに忘れるに決まっていても。
「……暑いな」
残暑は厳しいが、九月ともなれば日の落ちるのは早くなる。
涼しい風も吹くには吹くが、日中の気温の名残が強くてせっかくシャワーを浴びてすっきりしていた肌もじっとりと汗ばむ。
時間は夜の八時少し前。
時間差で別々に校舎に忍び込もうと連絡していたから、ヤヒロは先に潜り込んでいる筈だ。
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