4人が本棚に入れています
本棚に追加
七月一日(遠山)
まだ梅雨も明けていないというのに今日も朝から強い日差しが道路を照りつけている。
今日も暑くなるな、辟易しながら遠山は通学路を駅へと向かって歩く。
ふと道路脇を見ると、昨日そこにあった子猫が入っていた段ボールがなくなっている。
飼い主が見つかったんだろうか。
なんて考え事をしていると、すぐ傍をトラックが物凄い勢いで走り抜けていく。
あっぶね。あんなのに轢かれたら助からないな。
危険を回避するために少し車道から離れて歩いていると、今度はすぐ傍を自転車に乗った女子高生が追い抜いていった。
そして、その自転車の女子高生は静かにブレーキをかけて止まると、自転車に乗ったままこちらを振り向いて言った。
「おはよ!遠山君、良かったね」
え、何の事?誰、この美少女は。
こんなに可愛い子、知り合いにいたら絶対忘れない。それに僕の事知ってるみたいだし。
「え、誰?良かったねって何の事?」
「あ、そっか。えーっと、その……。私は遠山君と友達になりたくて……。そ、それに、今日の占い、水瓶座一位だったね」
え、まあ確かに水瓶座一位だったけど……。それにしても僕と友達になりたいなんて。
分からないことだらけだけど、こんな美少女に話しかけられるなんて、占いの効果なのかな?
美少女は続ける。
「これからもよろしくね」
美少女はニコっと微笑むと、じゃあまたねと慌てて自転車を飛ばして行った。
そういえば、あの美少女、昨日見かけたような気がする。
昨日って何してたっけ?
最初のコメントを投稿しよう!