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六月三十日②(遠山)
家から駅に向かうこの狭い道は幹線道路の抜け道になっていて歩道のすぐ脇を車がすり抜けていく。
歩いて十分くらいかかるいつもと変わらない道のり。
そう思っていたが、ふと道路脇に屈みこんでいる制服姿の女子に気付いた。
女子の傍には彼女の物と思われる自転車が立てかけてあった。
最初は気分でも悪いのかなと思って声を掛けようか迷ったけど、良く見たら段ボール箱の中を覗いているようだった。
しゃがんでいる小さな後ろ姿を見ただけだけど、知り合いではなさそうだ。
通り過ぎる時に「にゃあ」という可愛らしい小さな鳴き声が聞こえたから、子猫が捨てられているのを見ていたんだろう。
女子に気を取られていた遠山の脇を、ブウォンという風圧と共に大きなトラックがすごい勢いで追い越していった。
制服を見るに僕と違う高校の子みたいだけど、この時間にこんな所でのんびりしていたら遅刻しちゃうのではと心配した。
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