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六月三十日⑤(遠山)
放課後、学校からの帰り道。
部活に入っていない遠山は、まだ明るい商店街を歩いていた。
不意に遠くから、キャーッという悲鳴が聞こえてきた。
声の方を窺うと、手に包丁を持った男がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
朝のニュースで言っていた通り魔だ。
通り魔と遠山との距離はまだ離れている。逃げるには十分な距離だ。
しかし、遠山と通り魔の間に一人の女子高生がいた。
女子高生は通り魔に気付いているようだが足が竦んでいるのか動こうとしない。
このままでは刺される。
やばい、助けなければ!
そう思った矢先、歩道の両脇から制服警官がたくさん現れて、通り魔を取り押さえた。
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