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☆40. 事後【本編最終話】
『神さま。
わたしたちをどうして引き離したのでしょう?
交わるはずのなかった運命が交差し、引き裂かれたわたしたちの絆を呼び戻す。
……ああ。神さま。
どうか、恋に溺れるわたしたちをお許しください。
SHIONE』
ブログの文章を読み返してわたしは思う。……それにしても。
自己陶酔感半端ないなぁ。……ま、不倫が叩かれるようになったくらいの時期に書かれたものだから仕方ないか。昭和の時代は、みんな、不倫に、そんな厳しくなかった。かつて不倫は男の勲章、文化なんて言われた時代があった。
「中島さんも鷹取汐音さんに操られていたんですよね。怖」と身をすくませる前野さんは、「この珈琲、なにか入ったりしてませんよね?」
「……ぼくの淹れたハンドドリップコーヒーに文句をつけたら次の査定はC−にしてやるぞ」
カウンターの向こうでジョークを放つ才我さん。慌てたように前野さんが、そんなぁっ! と言い、一同から笑いがさざめく。
あれから一ヶ月が経過した。気持ちの落ち着いた頃に、と決めて、またみんなで集まっている。
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