三 理科教師からの情報

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 俺が思ってもみない記憶が脳内インプラントから現われた。俺はいったんその記憶が湧くのを押えた。  ヒューマノイドの集団が途切れた。Lが訊いた。 『さっきの話は何だ?』 『こんな事をしていても切りがないぞ。何のために立て籠ってるんだ?』 『駅を占拠されないためだと言ったはずだ』 『ヒューマノイドは大量にいるんだろう?いずれ、エクスブローダー弾は底を突く。  他の方法を考えた方がいいと思う』 『どんな方法だ?』 『最初にLは言った。指揮官がいるはすだと。だったら、Lの兄に会ってそいつの習性を知ろう。兄はどこに居る?』 『上尾だ。移動手段がない』 『通信はできるだろう?』 『ああ、脳内インプラントを起動すればできるな。ちょっと待ってろ・・・』  Lは思考で脳内インプラントを起動した。 『通じたぞ。あたしだ。兄貴が送ってくれた動画、その後の変化はあったか?』  俺の頭の隅に映像が現われた。Lがいう搭乗兵器のような機動兵器だ。  映像の隅に白衣を着た、メガネの若い男が現われた。 《水道水に混入したこいつが、ヒューマの体内に入って脳に集り、ヒューマを支配する。支配されたら、ヒューマは元には戻らない》  と思考が流れてきた。Lの兄、茶居孝史だ。 『国防省も警察省も科学技術省も、管理担当者がヒューマノイドだ。身体を奴らに支配されてる。誰もこのエリアンを認めないのは当然だ』 『上層部も、ヒューマノイド化されたのか』と茶居玲香。 『わからない』と兄の孝史。 『ヒューマノイドを指揮しているのは、誰だ?上野駅周辺のヒューマノイドを見ていたが、指揮している者は見当らない。ヒューマノイドは司令をどうやって受けてるんだ?』 『ヒューマノイド自体が一部隊だ。司令部は頭部だ。ヒューマノイドの頭部に機動兵器型エリアンが終結して、身体の中にいる他のエリアンを指揮してる』 『襲ってくるヒューマノイド一人一人の指揮官は、ヒューマノイドの頭部だというのか?』 『そういうことだ。ヒューマノイドの頭の中に居た司令部はエクスブローダー弾で壊滅した。おそらく攻撃してくる一波ごとのヒューマノイド一人一人の司令部は、侵略当初に指令を受けて、そのまま行動しただけだろう』 『エリアンの弱点は何だ?』 『直接大気に触れて、乾燥することだ』 『そんな事は、ヒューマノイド壊滅に役立たないぞ!』 『今のところ警察署も軍事基地も占拠されてないが、政府の状況は不明だ。上層部までヒューマノイドに支配された、と見た方がいいぞ!』 『エリアンが進入して、政府組織の全員がヒューマノイド化したか?』 『俺も最初はそう思っていたが、ヒューマノイド化するヒューマと、ヒューマノイドかしないヒューマがいるらしい』 『どういう事だ!?』
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