運命の出会い

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「この娘さんは誰なんだい」  早速、翌日に、開運子と二人で爺さんの家にいた。開運子をしばらく眺めていた爺さんがそう言った。 「よく当たる占い師です。企業から依頼されて交渉にあたっていますが、もう手詰まりです。交渉期間がまだ残っていますので、余興でもと思い、連れてきました」  俺の話に勝ち誇ったように爺さんが笑う。 「占いなど興味ないが、テレビなどでやっているのを見ると、一度見てもらうのも面白いかと思っていたところじゃ」 「お名前と生年月日をお聞きしてもいいですか?」  爺さんが俺を見た。 「個人情報を漏らすわけにはいきませんので、私からは」 「そうか、律儀なことだ。教えてやってくれ」  俺は紙とペンを出して、そこに書いた。  開運子は、しばらくそれを眺めた後、爺さんの手相を見た。 「どうじゃ、あと何年くらい生きられる?」 「今、80歳ですが、あと、20年」    爺さんの眉がみるみる開いた。 「ほう、それなら裁判が結審するまで見届けられるな。安心して訴えられる」  バカ。裁判をやる気にさせてどうするんだよ。俺は心の中で叫んでいた。こめかみからヒヤリと汗が出た。 「勝負運はどうじゃ」 「これから10年はついていますが、その後の10年は運気がよくありません」 「民事訴訟では、最高裁で結審するまで、意外と早いものじゃ。安心じゃ」  おいおい、どんどん裁判をやる気になってるじゃないか。やはり、こいつに頼んだのは、間違いか。ここぞと思ったときに頭を下げて謝れと言っていたが、そんなタイミングなんて無いじゃないか。俺は、彼女の肘をコツンとつついたが、彼女は動じなかった。 「弁護士は、うちの顧問弁護士でいいのか?」 「不向きと出ています。専門が違うのでは?」  爺さんは得意げに指で鼻の頭をかいた。 「たしかに、そうじゃ。商取引に関しては、信頼できるが、今回のケースは向いていないんじゃないかと思っておった。気に入った。あなたは、信用できる」  満足そうな爺さんに開運子の表情が凍り付いていた。開運子は、ぼそりと言った。 「娘さんは、残念でしたね」  しばしの沈黙を破って爺さんの声が細く響いた。 「なんで、それを知っている」
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