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シリは絶滅せず、ひっそりと目立たないように各国に存在している。この国でも田舎の山や川、いくらでも潜むことはできる。バッタ船自体も移動が可能なこと、どういう構造で何を燃料としているかはわからないが、どうやらまだ動くことがわかった。何より驚いたのは俺達フネンがこの星で自然に分裂できたことで、それが、シリの存在によることがわかったのだった。
明確な言葉も文字もないシリとフネンの二種族は前の星では会話していた。通じていたのだ。お互いの気持ちをなんとなくだがわかったのである。フネン族は分裂の際、その記憶の一部を引き継ぐ。中でも長老筋は俺達とは比べものにならないくらい古い記憶をも引き継いでいるはずなのだが、シリの存在意義、バッタ型の宇宙船についてなどの記憶が一切ないのだという。俺達両種族には宇宙船をつくることは今のところできなさそうだ。だとしたら、今に至るまでのどこかで、よその星で手に入れたと考えるのが一番自然である。
そして、その星の何者かによって、なんのためかはわからないが、記憶をも消されていた。不可解ではあるけれど、そう考えると今の状況になってしまったことにも納得がいく。ふと、俺は「歴史は繰り返す」という言葉を思い出した。
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