不思議なリボルバー

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『こんばんは玲ちゃん、今まで一人でよく頑張ったね。 でもここからは、僕がこの人達の相手をするから、きみはもう何も心配しなくて大丈夫だよ』 といつもの可愛い声で、ニコニコしながら話してくれたから、 大好きな友達の声を聞けた事で一気に安心した玲も 「ありがとう白麗…」と小さな声で返事をした後ニッコリ微笑んでいたけれど そんな玲達の真後ろで、 早くも弾切れを起こした佐竹は黒いリボルバーを持ったままの状態で 「な、な、なんでピストルの弾が全部マシュマロになってんだよ! つうか それよりも、どうしてさっきからそこでチビの犬っころが、 一人でペラペラと喋っているんだ?おい斉野!これはお前のイリュージョンか?」 「いえいえ、私はまだ何もしていませんよ? ですからマシュマロの弾丸は~、そこの犬のイリュージョンだと思いますよ?」 「はぁあ~?犬のイリュージョンだと?んな訳ねえだろうが斉野ー!」 て感じで何度も何度も顔を見合わせながら 大きな階段の踊り場からコチラを見おろすエスパーと あーでもない こーでもないと意味不明な会話で盛り上がっていたから えっ?マシュマロ?何それ?と思った玲は、 思わず慌てて(あた)りをグルっと見回してみると…… (えぇえー?!ウソーー?本当に弾がマシュマロになってるしーー!) なんと、佐竹が撃ったピストルの弾丸は、 いつの間にか全てがフワフワのマシュマロに姿を変えていたので まるで魔法みたいな奇跡を目撃した玲は、もちろん密かに心に中で (なんだかさっきからずっと、トンデモナイ奇跡が連続で起きているから、 正直頭が追いつかないけど、でもこんなに凄い事がポンポンと出来るのは、 きっと神様とか天使とか妖精さんとか……とにかく人智を超えた存在の、 『めっちゃ尊いお(かた)』だけだと思うから、やっぱり白麗は神様なんだよね?) こんな(ふう)にきっと誰も傷付かない 平和的でお子様的な独り言を呟きながら…… もしかしたら白麗の姿を見た事がキッカケで 佐竹も涼子もエスパーも、皆で一緒に『お後がよろしいムード』になって そしてこの後、まるで何事もなかったかの様に、 全員が笑顔で この画廊を出ていく事が出来るかも! なんてカオスなハッピーエンドをけっこう本気で思っていたのに、 次の瞬間、世界で一番脳天気な玲が、その目でバッチリ見たものは…… ***** カツ―ン カツ―ンと靴底の音を響かせながら 大きな広い階段の踊り場を出た後で ゆっくりゆっくり時間を掛けて階段を下りてきて 「おやおやおや~…… しかし見れば見る程、おもしろい犬ですねぇ、ウフフフ~」 しかも右手にステッキを持った最強の状態で ニコニコしながらネチネチと喋る仮面のエスパーだったから! (うわぁ!ついにエスパーがきちゃったよー…… て言うか やっぱり黒いステッキを持ってるし、どうしよう!) とは言えない世界で一番ヘタレの玲が 再び一人でパニクっていた事は、もちろん今さら言うまでもない。
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