136人が本棚に入れています
本棚に追加
/176ページ
永遠の純粋
そしてカツーン カツーンと靴底の音を響かせて
明らかに わざとらしく、ゆっくりと時間を掛けながら
シンデレラのお城みたいな階段をおりてくる仮面のエスパーは
*****
「いやいや、まさか~……
犬にも私と同じサイキッカーが居たとは本当に驚きましたねぇ……
でも たかだが犬の分際で~、この私にイリュージョンを仕掛けるなんて、
それこそ100年早いお話ですから~、この程度の技でいい気なってる悪い犬には、
何かお仕置きをしないといけませんが~、さてさてどんな仕置をしましょうか~……」
何度聞いても気持ちが悪い裏声で、小さな白麗を脅しながら、
早くも黒いステッキをクルクルと回して最後の階段を下りた後すぐに
「じゃあまずは、その目立つ9本の尻尾を~……
今すぐスパッと切り取って差し上げましょうかねぇ、ウフフ~」
なんと、今すぐ九尾のシッポを切ってやると息巻いて
無駄に自信満々な態度でジワジワとコチラに向かって歩いてきたが、
やはり全くエスパーの事を怖がっていない子犬の白麗は、
次の瞬間、トコトコ歩いて自らエスパーの元へと向かい、
そして最高に緊迫した空気の中で……
「さぁ、回りなさ~いセニョリーター!
最高速度でクルクル回ってサッサとシッポをぶったぎってあげなさ~い」
もうこの時点で超~高速回転でグルグルと回っている
エスパーのステッキ攻撃をものともせずに冷めた瞳で微笑みながら
『僕はね、お前の様に愚かな人間が一番嫌いなんだ……
だから今日は特別に、能力者のお前にぴったりのお仕置きをしてあげるよ』
と何やらメッチャ気になる意味深な発言をしてすぐに
『お前達みたいな大馬鹿者は……
未来永劫ずーっと大人になってはいけない存在だと思うよ?』
なんて更に謎だらけの独り言を呟いたその直後!
ついさっきまではブルートパーズの様にキラキラと輝いていた青い瞳を、
いきなり真っ赤に光らせて、そしてこのままの勢いで……!
『だからお前達3人は今日から永遠に……
現世も死後も来世も全て、純粋な子供として生きてもらう事に決めたよ』
まるでルビーの様に真っ赤な瞳で佐竹達を見つめながら、
微妙に意味が分からない事をハッキリと宣言したけれど……
(えっと、純粋な子供って、いったいどう言う意味なの?)
とは言えない玲の疑問はこの後すぐに……!
「あれぇ?ここはどこぉ?きみは、だれぇ?」
「うえ~ん、この人おめん怪人だーー!
たすけてママー!パパー!おじいちゃーん!ぎんじーー!」
(……えっ?な、な、何これ?)
「ねぇねぇおじさん、でんきをつけてよー、あたち暗いのヤだよ~!」
(はぁあ?急にどうしたの涼子さん!
いや、待って……純粋な子供ってまさかーー!!)
「もう、おうちにかえるぅー」
「まってぇ!ぼくもかえるよぉ!」
いきなり幼児退行した佐竹達の言動が全てを物語っていたので
最初のコメントを投稿しよう!